大晦日の公園で
年末年始は、街の様子もいつもと少し違う。
近所のよく行く大きな公園でのこと。
父親と兄と弟の3人でのサッカーの練習。普段はのんびりしたファミリーが多い公園なので、あまり見ない光景だった。
兄は小学校5〜6年生ぐらい。弟は2〜3年生といった年齢。
一通りの練習を終えてから、最後に兄弟で公園を一周走ることになった。
ヨーイドンで二人スタート。
10メートルほど走ると、兄が横並びに走る弟を肘で押して倒す。タックル。
明らかに故意だ。
父親は倒れて泣く弟の所へ行って、
「なんやねん!立て!泣くな!」
と、腕を持って立たせて、そのまま走らせた。
さて、ここまで見てどう感じるだろうか?
人それぞれ様々な意見がありそうだ。
「サッカーの練習(の最後)なんだし、それぐらい厳しくても当然」とか
「泣いている子にそこまでさせるのはどうか」などがありそうだが、
私はここではサッカーの指導にはとやかく言うつもりはない。(まぁ小学生に厳しい練習はいらないという立場ではあるが。その議論はまた別で。)
私が気になったのは兄の方だ。
兄はタックルにも手慣れた様子で、かつ悪びれる雰囲気もなかった。
おそらくは普段からそのような場面があるのだろう。
ここでは兄に「堂々と勝負をする」ということを教えたいところだ。
重ねて「自己主張のための暴力は絶対悪」ということも伝えたい。
しかし父親もそのような様子はなく、その後を見ても「泣くほうが弱いから悪い(負け)」といった感じがした。
はたして兄はどのように育っていくのだろうか。
小学校では、トラブルの後に子どもの話を聞いていると、父親から「やられたらやり返せと言われているから殴った」なんていうこともある。暴力が正当な自己主張の手段であると教わる家庭もある。
子育てに何が正しいかは正解はない。
教育にも王道はない。
世の中には「勝てば正義」なんていう場面はいくらでもある。
ただ、この父親に問いたい。
スポーツを通して、この時期(小学生)に一体何を身に着けさせたいのだろうか。